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自動車保険の見直しで考えたい「レンタカー特約」。意外に違う補償範囲を確認

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結婚や出産などでライフステージが変わるとき、生活の足である車も買い替え、そして自動車保険も見直すことでしょう。自動車保険を選ぶ際、意外に悩むのが「レンタカー特約」です。事故などで車の修理が必要になった場合に、修理期間中のレンタカー費用を補償するものですが、実は保険会社によって契約の条件や補償の範囲が大きく異なることはご存じでしょうか。「レンタカー特約」の特徴と上手な選び方を解説します。

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コラムサマリ

★この記事は約6分で読めます。

  • 自動車保険選びで考える「レンタカー特約」。メリットとデメリットを確認する。
  • あなたはどっち?レンタカー特約が必要な人、不要な人の違いとは。
  • 対象期間「30日」も実は範囲が違うかも。保険会社での異なるポイントを確認する。

ご契約にあたっては、必ず「重要事項説明書」をよくお読みください。
ご不明な点等がある場合には、保険代理店までお問い合わせください。

本文

レンタカー特約とは。メリットとデメリットを確認

レンタカー特約は、事故や故障により修理工場などに搬送され、契約の車の使用ができなくなった場合に、レンタカーを借りるための費用を補償してくれる特約です。

名称は保険会社や商品により「レンタカー費用等補償特約」「事故時レンタカー費用補償特約」「事故・故障時レンタカー費用補償特約」など、さまざまです。

支払われる保険金は、「1日あたりのレンタカー費用×実際にレンタカーを借り入れた日数」で計算されます。ただし、保険金日額、支払限度日数を限度とします。また「実際にレンタカーを借り入れた日数」は、保険それぞれの支払い対象期間によって変わります。

レンタカー特約のメリット

事故などにより車の修理が必要となった場合には、ディーラーや修理工場に依頼することになりますが、日数がかかる場合、代車やレンタカーを利用することが考えられます。

代車といえば、車検の際に無料で借りた経験がある方も多いかもしれません。ただし、代車の貸し出しは、顧客サービスの一環であるため、貸し出し制度のない場合もあり、有料の場合もあるなどさまざまです。車検であれば前もって日程が決まっているため代車を優先的に手配することができるものの、突発的な事故や故障では、代車に空きがないことも多いのです。

そんな時でも、レンタカー特約により保険金でレンタカーを借りることができれば、経済的負担も軽減でき、安心です。ディーラーや修理工場にとっても、保険金でレンタカーを借りて貰えれば、代車を探す必要がないためスムーズな対応が可能となります。

レンタカー特約のデメリット

特約を契約することで、当然ながら、保険料負担は上がります。レンタカーのための保険金日額をいくらに設定するかによるものの「特約なし」の場合と比較すると、年間で数千円程度の差が生じます。この差額の捉え方はさまざまですが、負担は大きいと感じる人もいるかもしれません。

レンタカー特約が必要な人と不要な人

事故や故障により契約の車が使用できない場合に、日常生活にどの程度の影響があるかどうか、代替として代車やレンタカーを使用するかどうかが判断基準でしょう。レンタカー特約が必要な人、不要な人について確認しましょう。

レンタカー特約が必要な人

子どもの保育園の送迎や通勤など日常的に車を使用している人は、特約を契約しておくと安心です。修理工場やディーラーの代車手配が難しい場合でも、ストレスなく代替の車を見つけることができるでしょう。

レンタカー特約が不要な人

複数台の車を所有している場合や代わりに保育園のお迎えに行ってくれる親などがいる場合には、不要かもしれません。公共交通機関の利用で日常生活が送れるのであれば不要とも言えます。レンタカー特約を契約することで保険料がアップすることをふまえると、車が使えないことに多少の不便があったとしても、保険料を抑えたい場合には契約しないという選択肢も有効です。

意外にも保険会社によって違う「レンタカー特約」

実は、このレンタカー特約は、保険会社によってその対象の範囲や、契約するための条件が異なります。そもそも選択できない自動車保険もあるので、確認していきましょう。

レンタカーを借りられる対象期間「30日」の範囲の違い

レンタカーを借りる期間については、たとえば「30日限度」であっても、事故日から30日間と、レンタカーの利用開始日から30日間では大きな違いです。事故によるケガなどで入院・療養し、40日後に仕事復帰でレンタカーを借りようと思ったら対象期間が過ぎていたという悲しい事例もあります。このほか、修理工場への入庫日からとする場合もあります。

日数についても、「15日限度」「30日限度でも故障の場合には15日限度」などのほか、さらに補償拡張特約をセットすることで補償を充実させることができるなど、さまざまなタイプがあります。レンタカーを借りられる支払限度日数については、日数だけでなくその期間や条件をよく確認しましょう。

車両保険の契約が義務かどうか

基本的には、車両保険を契約していることを条件として契約することができる特約です。ただし、一部では、車両保険を付保契約していなくても特約を契約できる保険もあります。

なお、等級については、基本的にレンタカー特約のみの保険金請求であれば等級ダウンに影響しません。ただし、事故による車両の損害状況によっては車両保険金を請求するため、等級が下がる場合もあります。

自動セットと任意セット、特約による補償追加が必要な場合もある

大手損保などでは、車両保険を契約すると自動セットで車両搬送や応急対応・レンタカー費用が補償される保険もあります。このような場合、事故や故障時に目的地までの移動手段として代車やレンタカーを手配することができます。修理中の日常生活における代替車両としてレンタカーを借りる費用を賄うためには、別途、特約を追加する必要があります。

なお、通販系の自動車保険などは、特約の付帯や削除の自由設定により保険料を抑えられることが魅力ですが、任意で選択するケースが多いため設定を忘れがちです。レンタカー特約の付帯漏れのないよう注意しましょう。

また、「レンタカー特約」としてレンタカー費用を補償するのではなく、事故による修理もしくは買替えまでの代わりの車が必要なときに、「代車提供特約」として、保険会社が指定修理工場から貸し出される車、レンタカーのいずれかを手配、提供するという保険もあります。

故障時の補償の範囲

「どんな場合に」補償されるのかについても確認が必要です。事故だけでなく、故障により自力走行ができなくなるケースも想定されますが、保険によっては、故障時は車両搬送時のみ補償されるなど、修理期間は対象外の場合もあります。

なお、法令により禁止されている改造や故意・重大な過失による損害の場合は対象外であることは共通です。

まとめ

レンタカーを借りるための費用補償といっても、意外にも、商品により補償内容や範囲、条件は大きく異なります。とくに、日常的に車を使用する方にとっては、代替車両に関する費用が大きな出費とならぬよう、保険で備えておきたいものです。いずれの場合も、レンタカー特約の補償内容が自動車保険選びのポイントにもなり得ます。

自動車保険の見直しの際は、保険料負担とのバランスを考えつつ、もしもの時に役に立つ補償について確認のうえ、検討しましょう。

この記事の執筆協力

執筆者名

大竹麻佐子

執筆者プロフィール

証券会社、銀行、保険会社など金融機関での勤務を経て独立。相談・執筆・講師活動を展開。ひとりでも多くの人に、お金と向き合うことで、より豊かに自分らしく生きてほしい。ファイナンシャルプランナー(CFP©)ほか、相続診断士、整理収納アドバイザーとして、知識だけでない、さまざまな観点からのアドバイスとサポートが好評。2児の母。

募集文書管理番号
0108-29A1-B22208-202303

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